韓国戸籍の話:婚姻手続

■婚約制度

韓国民法には「婚約」についても規定があります。婚約自由の原則や婚約解消による損害賠償請求権についても規定されており、婚約解消により負った財産上の損害のほか、精神的苦痛に関しても明文上賠償請求できると規定しています。このように韓国では「婚約」も婚姻に準ずる取扱いをしています。

■婚姻要件

男女共に満18歳になった者は婚姻することができます。韓国では19歳が成年となりますので(2013年7月1日民法改正)19歳からは父母の同意なく婚姻することができます。

同意は父母両方又は一方の同意があれば良いとされ、父母が同意できないときは後見人の同意が必要であると規定しています。

 以前は女性が再婚する場合、前婚から6ヶ月間の再婚禁止期間がありましたが、子の嫡出問題についてDNA鑑定等の方法を採用して父を決定できるとして、現在は再婚禁止期間はありません。

また、現在は領事館で「婚姻要件具備証明書」は発行されておりませんので、韓国家族関係証明書(基本・家族・婚姻関係証明書)を取得して提出することになります。

 

■婚姻手続き

  • ◎「日本人」と「韓国人」国際結婚の手続方法

   日本人と韓国人が婚姻する場合、二つの手続き方法があります。

  • 1,先に日本で婚姻届出をした後に韓国へ婚姻申告をする

 

       日本の役場に婚姻届を提出

                      

「婚姻届出受理証明書」又は「婚姻届出記載事項証明書」

                      

上記書類(原本と翻訳文)を添付して、韓国領事館へ婚姻申告書を提出

                      

       韓国の家族関係登録簿に配偶者が記載される

 

※3ヶ月を過ぎて韓国へ婚姻申告する場合は、日本人の戸籍謄本も必要になります。

 

  • 2,先に韓国で婚姻届出をした後に日本へ婚姻申告をする

 

     韓国の役場に婚姻申告書を提出

                      

  (韓国人配偶者の家族関係登録簿に婚姻の登録が終了)

「基本証明書・家族関係証明書・婚姻関係証明書」

                      

 上記書類(原本と翻訳文)を添付して、日本の役場へ婚姻届を提出

                      

          日本人の戸籍に配偶者が記載される

 

☆日本と韓国、どちらを先に手続きしても良いですが、その後一方の国へ婚姻の報告的届出をしなければ両国で有効な婚姻が成立しません!

 

 

  • ◎「韓国人」と「韓国人」婚姻手続

たとえば、日本生まれの在日コリアン同士の婚姻の場合、日本人との場合と同じくどちらの国で先に婚姻届を提出しても良いです。

ただし、先に韓国で婚姻手続きが終了した場合は日本の役場によっては婚姻届を受理しないところもあります。

これは韓国人同士の婚姻であり、日本の戸籍に記載する必要がないため、報告的届出は不要とする立場からですが、住民票の続柄の変更等の手続は必要になります。

 両国への婚姻手続きに必要な書類については、事前に韓国在外公館(大使館・領事館)及びお住いの市区町村役場へ確認しておくと手続きをスムーズに行なえますのでお忘れなく!

 

 ■~まめ知識~

☆近親婚の禁止☆

韓国では長い間、同姓同本(※)の者同士の婚姻を禁止する規定を設けていましたが、1997年に憲法裁判所による違憲決定により、この規定を削除し、現在は「8親等以内の血族(特別養子の縁組前の血族含)間の婚姻」と「6親等以内の血族の配偶者、配偶者の6親等以内の血族、配偶者の4親等以内の配偶者の姻族又は姻族であった者」との婚姻を禁止する規定があります。

養子については「養父母の6親等以内の血族であった者と養父母の4親等以内の姻族であった者との婚姻」も禁止されています。

  

☆『同姓同本』とは

 

「姓」・・・約280種あり、金・李・朴・崔・鄭で全体の50%以上を占める。

一文字の姓が大部分だが二文字の姓もある(例:南宮・司空など)

 

「本」・・・本貫といい、その氏族の発祥の地をいう。父系血族主義の祖先の発祥地域の名称である。

 

   例:  Aさん:金○○と言います。

           Bさん:金□□と言います。

           Aさん:どちらの金氏になりますか?

           Bさん:「金海」の金です。

           Aさん:私は「安東」の金です。よろしくお願いします。

                       

                       

「同姓同本」とは、もしAさんもBさんと同じく「金海」の金氏である場合、二人は同じ「金」の姓で同じ本貫「金海」なので、氏族の祖先が一緒であると考えられ、長い間近親婚の対象であった。

 

  現在は法律上婚姻は認められているが、年長者のなかには抵抗を感じる人も少なくない。